第二章 祭~ギシキ~

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村の中は外から見た通り、人の気配が感じられず、雨音だけが静かに響きわたっている。 「誰かぁいますかぁ?失礼しまぁす」 最初に目に止まった平屋建ての屋敷に手をかける  ギィィ 扉は美古都が思っていたよりもすんなりと開いた。まるでつい最近まで誰かが使っていたかのように。 「誰かいますかぁ?」 部屋の中にも人の気配は感じられない。しかし、誰かの視線がネットリと絡み付いてくる。 「ここはどこなんだろう?」 そもそも彼女は皆代の森の奥にこんな村があることすら知らなかった。 長い年月人の手の加えられていない家独特のカビ臭さに美古都は顔をしかめる。 カビ臭さはあるものの、美古都のいる家は完全な形を保っていた。 玄関を入ってすぐに囲炉裏のある広間があり、そこから襖でしきられた反対側があり、その向こう側にもう一つ部屋が有るのがみてとれる。そして右側には奥へと続く廊下が続いている。
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