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「主様。愉しませて頂きました。」
「よろしい。では自分の居場所に戻りなさい。」
兄と主様の会話は素っ気無い。
「さあ、アトラス。今日は何をしたい?」
「僕は、…主様と、…イリア様と一緒なら何でも良いです。」
主様はそうかと呟くと僕の唇を軽く奪い、体に手を這わせてくる。そして僕の首輪を外す。
「アトラスの奴、俺の主様に何をして気に入られたんだ? 俺はあんなに忠誠を誓っているのに…。気に喰わねぇ。」
僕は横目でシルビアを見た。主様は僕を抱いて眠っている。暖かい。主様の鼓動は大きくゆっくりで、優しい。
「なに? シルビア。邪魔だよ。消えて。」
「黙れ。いつか殺してやる。俺の主だぞ?」
シルビアは僕を睨み付ける。殺気走った視線。僕の体に深く突き刺さるような錯覚に陥る。だけど大丈夫。主様は僕を護ると言ったから。そう約束してくれたから。だから僕は殺されることは無い。
シルビアは知らない間に消えていた。もしかしたら夢だったのかもしれない。そうでなくても…。
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