bottom of sky

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   青い世界に、僕の体は浮いていた。長い間、意識を手放していた僕は空にいることを知る術さえ分からなかった。  目覚めて、浮いていることに気付いた。助けてくれ…。 「サイン様! 早く起きて下さい!」 「五月蝿いなぁ…。起きてるよ!」  僕は、竜神・サイン。此処は空の上、僕らの住処。僕は詩を書くのが趣味。朝起きたら夢を謳う。今日の夢は少し淋しい感じかな…。とにかく僕はクウに叩き起こされた。 「サイン様。今日は仕事が山程とは言いませんが資料等確認して頂きますので。」 「面倒くさいなぁ…。遊びたいよ…。」  クウは鋭い目線で僕を睨む。僕は重たい気持ちでご飯を食べた。 「はぁ…、また同じ様な依頼だなぁ。こんな所に豪邸なんて、必要ないよなぁ。」  僕の仕事の内容は 1、依頼書が届く。 2、僕が依頼主に会いに行く。 3、報酬を貰い地形を変える。  以上。だが、欲に眼が眩んで無駄な事をする輩には会いに行かない。上のような依頼は特にね。 「クウ。今日もない。同じ様な依頼だけだ…。」 「そうですか…。…休憩をしましょうか。」 「うん。」  淋しい気持ちだった。苦しかった。  
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