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「ふぅ…。」
僕は溜め息を吐く。日時計はまた昼になっていない。僕は水鏡を覗き込む。
「サイン様…。また、行かれるのですか?」
「うん。クウはお留守番。…お願いね。」
「分かりました。…しかし、たまには、私にも…。」
「…行ってきます。」
…クウには残酷な仕打ちをしている。何時か優しくしなければ…。
僕は翼を広げる。
“ふぅ”
呼吸を整え、翔ぶ! 辺りに風が廻り、雲が削れる。
『バサッ! バサッ!』
強く羽ばたく。僕はある目的のためにこうして羽ばたくのだ。
「此処がルソンの街か…。」
ルソンの街。皆は知らないと思うけど、此処は以前、麻薬が蔓延していたんた。被害に遭った4割が子供。例として一人を挙げると、其の子は麻薬中毒にされるまで無料で吸わされ、いざ中毒者になったとたん薬を止められた。金を作るために体を売り始めて、男に安い金額で体を預け、闇市場に内蔵を売り…。結局、其の子は死体で見つかるまで行方知らずだった。
其の子の体は痩せ細り、傷口は癒着しておらず中が見えた。片眼は中で破裂していて、歯はすべて抜け落ちていたらしい。
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