大好きな小説家

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莉央は小説を読み終えると教室から窓の外を見つめた。 空は青くセミの声はうるさいが小説の世界に入らこんでしまった莉央には気にならない。 莉央は左下に1本で結んだ黒髪を指でくるくるさせながら呟いた。 「あ~!なんてステキなの!!」 「そういうのは心の中だけで言っとけ。口に出すな」 愛美のナイスなツッコミで莉央は現実に引き戻される。 「だって本当にステキなのよ!両想いなのに二人には先生と生徒という壁があってそれはもう切なく………」 莉央がそう呟きながらまた小説の世界へと入っていくと、愛美はため息をついた。 しばらく現実に戻りそうにない莉央を横目に愛美は読みかけの本に目を落とした。
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