3.赤ちゃん

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ケンタは、驚くことも馬鹿にすることもなく、ただただ微笑みながら僕の指差した方を見つめていました。   「やっぱりね」   しばらくして、ケンタが口を開きました。   「そうだろうと思った。ここは3階だし、君は空を飛べるんだし」   するとケンタはベッドから降り、窓の方へと歩き始めました。   「昨日、君がいなくなったあと、ぼく、幻を見たんじゃないかって思ったんだ。空を飛べるなんて、天使か、悪魔か、妖精か、それとも……」   「それとも?」   「それとも……ピーターパンか!」   僕はまた一瞬、ドキッとしました。「死神」って言われるんじゃないかって。   ピーターパンが何かは分からないけれど、とりあえず正体がばれずに済んでホッとしました。     「まあ……」 ケンタが言いました。 「君がどこから来ようが、何であろうが、とにかく、ぼくの所に来てくれて嬉しいよ」   ケンタは微笑みました。   「ありがとう」   僕は何も答えられませんでした。
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