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ケンタは、驚くことも馬鹿にすることもなく、ただただ微笑みながら僕の指差した方を見つめていました。
「やっぱりね」
しばらくして、ケンタが口を開きました。
「そうだろうと思った。ここは3階だし、君は空を飛べるんだし」
するとケンタはベッドから降り、窓の方へと歩き始めました。
「昨日、君がいなくなったあと、ぼく、幻を見たんじゃないかって思ったんだ。空を飛べるなんて、天使か、悪魔か、妖精か、それとも……」
「それとも?」
「それとも……ピーターパンか!」
僕はまた一瞬、ドキッとしました。「死神」って言われるんじゃないかって。
ピーターパンが何かは分からないけれど、とりあえず正体がばれずに済んでホッとしました。
「まあ……」
ケンタが言いました。
「君がどこから来ようが、何であろうが、とにかく、ぼくの所に来てくれて嬉しいよ」
ケンタは微笑みました。
「ありがとう」
僕は何も答えられませんでした。
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