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「今度の手術」それは、6日後に迫っていました。
そして、その手術でケンタは命を落とすことになっているのです。
僕の、魂の鎌によって……
「そろそろ行かなくちゃ」
僕は精一杯の笑顔を作ってケンタに言いました。
「もう?」
ケンタは寂しそうな顔をしました。
「うん。お母さんに、りんご美味しかったって伝えて」
「また明日も来てくれるよね?」
ケンタが訊ねました。
「ぼく、待ってるから」
「うん、必ず来るよ。約束する」
僕がそう言うと、ケンタは右手の小指を立てて、僕の前に出しました。
「何?」
僕は驚きました。
「指切りしよう」
すると、ケンタは僕の右手を取って、小指に自分の小指を絡ませました。
「こうやって、嘘をつかないって誓うんだ。約束、守ってね!」
ケンタは微笑みました。
「分かったよ」
やがて、僕は青い青い空へ向かって飛び立っていきました。
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