2.出会い

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  8月の、暑い盛りの頃でした。   僕は青空と、綿飴みたいな入道雲の間を縫って例の病院へ飛んでいきました。   あの子はちょうど、テレビで野球を見ているところでした。   あ、野球っていうのは、人間が考えたスポーツの一種です。一人が投げた球を、少し離れたところにいる人が棒で打つんですよ。そしてその打たれたボールを他の人が走って取っ――   すみません。話がずれてしまいましたね。     とにかく、僕は病院の窓から堂々と男の子の部屋に入りました。   でも、不思議なんですよ。   ほら、僕たち死神の姿って人間には見えないはずじゃないですか。   なのに、あの子には僕の姿が見えたらしいんですよ!
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