その男"天峰 浩二"

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チャイムが鳴っても先生は来なかった。 恐らく、転入生と一緒に来るため遅れているのだろう。 教室は私語が飛び交っていた。 突然ガラガラと教室のドアが開いた。 私語がピタリと止む。 最初に入ってきたのは担任の先生。 いつもと変わらない様子で学級委員に合図をする。 『起立、礼』 学級委員の号令で挨拶をした。 みんなが着席すると先生は話しだした。 担任『突然ですが、今日は転入生が来ます』 『知ってますよ』 『もう来てるんですか?』 一言話しただけなのに教室は昼休みのようにざわめき出した。 担任はそれを沈め話しを進めた。 担任『もう来てもらってますよ。では天峰君、中に』 視線がドアに集まる。 ガラガラとドアが空き天峰が中に入って来た。 左右の手足が一緒に動いている。 (手と足が一緒に動いてる…) (本当にこんな奴いるんだ…) クラスの生徒たちは呆然と天峰の様子を見ていた。 天峰は教卓の前まで来るとピシッと気を付けをして一礼した。 『おはようございました。天峰 浩二(コウジ)です。よろしくお願いします』 おはようの挨拶が過去形だったことはさておき、手足が一緒に動いていたこともさておき、1番インパクトを与えたのは少年の髪――─白髪だった。 髪を染めている生徒(火柱なんかがそう)はいたが、白は1人もいなかったからである。 担任『自己紹介ありがとう天峰君。何か質問のある子はいないか?』 先生は天峰が早くクラスに打ち解けられるように生徒に質問を求めた。 しかし、そんなことをする必要もなかった。 『浩二!久しぶりじゃん!』 『元気にしてたかよ!?』 数人の男性が気さくに話しかけてきたのだ。 担任『なんだ?知り合いかな?』 天峰『はい。小学校の頃までこちらに住んでたので。彼らはその時の友達です』 少しだけ緊張が溶けたのか天峰は和らいだ表情で答えた。 『浩二!』 声をかけた火柱も幼なじみの中の1人だった。 天峰『おぉ!カゲ、久しぶりやん』 火柱に対する返事は取り分け大きかった。 特に仲がよかったのだろう。 担任『なかなか友達が多いみたいでよかったよ。天峰君の席はあの娘の後ろだよ』 天峰『はい』 天峰は前もって準備されていた最後尾の机の所まで行くと、椅子に腰を降ろした。
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