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家に着いた天峰は、ベッドにゴロリと仰向けに転がった。
頭の後ろで腕を組んでぼ~っと天井を見つめる。
頭の中では白玉の台詞が回っていた。
『俺だって、期待には応えてやりたいさ』
そう呟いて視線を天井からクローゼットに移す。
中に入っているのはもう握ることないラケット。
『…』
天峰は向きを変え、クローゼットに背を向けた。
『!』
カバッと体を起こした。
外はもう暗い。
いつの間にか眠っていた。
『またあの夢か…』
ため息を着いてケータイで時間を確認した。
メールが来ているのに気付く。
メールの送り主は夏希だった。
「今週の土曜日に練習試合があるから来てね♪」
『…練習試合か』
天峰は迷ったが、夏希は自分のために卓球をやっていると思うと断れなかった。
また行って後悔するかもしれないが、「わかった」と返信した。
学校に行ってもやはり、夏希も火柱も練習試合の話はしてこなかった。気にしてくれているのだろう。
何事もなくその週の学校が終わった。
(練習試合は明日か…)
夏希のほうをチラッと見ると、それに気がついた夏希は会釈して部活へと向かった。
自分のために色々とやってくれてるのに、期待に応えられない。
天峰はやりきれない気持ちで教室を出た。
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