天峰の決意

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月曜日。 (これを使うのも久しぶりだな) 天峰は使い込まれたエナメルバックを背負って家を出た。 その日も天峰は火柱と夏希よりも早く学校に着いた。 エナメルバックを椅子の下にしまう。 何処か落ち着かない天峰。 久しぶりの部活生の格好がくすぐったいというか、何というか。 火柱や夏希には見られたくなかった。 『おはよう浩二』 考えている側から火柱が登校してきた。 天峰も『おはよう』と返す。 火柱の席は天峰から離れているのでエナメルバックは見えてないようだ。 夏希は隣だからバレてしまうが…しょうがない。 天峰はそわそわしながら夏希が登校する時間を待った。 『おはよう♪』 相変わらず朝から元気な夏希。 天峰『おはよう』 夏希『あれ?』 席に座る夏希は天峰の椅子の下に置いてあるバックに気が付いた。 夏希『浩二…それ』 天峰『あぁ、あのラケットなら握れた。早く打ってみたいけんね』 そう言って照れくさそうに頭を掻いた。 夏希は優しく微笑んだ。 『う~っす浩二!』 教室に入ってきたのは白玉。 火柱『宿題はしたの?』 白玉『まだや』 白玉は火柱の前の席に座って椅子ブランコを始めた。 白玉『ん?』 天峰の方を見て目を凝らす。 『浩二、椅子の下にバック持ってきてないか?』 『え?』 火柱も確認。 『ほんとだ。もしかして、部活に来るのかな!?』 『さぁな。分からへんけど、そっとしとくのが1番やな』 そう言ったものの、白玉は嬉しそうにしていた。 放課後。 火柱はそそくさと教室を出た。 天峰『あれ?カゲがいない』 教室を見渡すがやはりいない。 夏希『先に行っちゃったのかな?2人で行こっか♪』 2人で行くのは非常に恥ずかしかったが、断るまではないので天峰は承知した。
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