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仲の良い幼なじみの火柱がいるにも関わらず、天峰は口数が少なかった。
火柱『どしたの浩二?なんか昔と変わったみたいだけど…』
(確かに昔は明るかったかもしれないな)
そんなことを考えながら天峰は『別に普通だよ』と答えた。
『ならいいけど…。あ、そう言えば浩二部活はしてたの?』
その質問にピクリと反応してしまう。悟られないようにできるだけ平然と答えた。
『部活は…特にしてなかったよ』
嘘だ。卓球をしていたじゃないか。
『そうなんだ。あ、僕は卓球やってるんだ!卓球好き?』
『好きでも嫌いでもないかな』
今は嫌いだ。昔は好きだったけれど。
『そうなの?嫌いじゃないなら見学に来ない?』
『見学?』
天峰は火柱の顔を見て聞き返した。
『うん、放課後に一緒に行こうよ』
行きたくない。あの事故を思い出しそうで…
しかし、こんな無愛想な自分を誘ってくれたのだ。断るわけにもいかない。
『じゃあ…行ってみようかな』
嫌なのを悟られないように答えた。
『きっと楽しいと思うよ!』
天峰の答えを聞いた火柱はにっこり微笑んで言った。
『そう言えば浩二は隣の区域の高丸中から来たんだよね?高丸中の卓球部も新人戦で県大会を何とか決めたよ』
言われなくても知っていた。
自分も高丸中の卓球部だったのだから。
もっとも新人戦が始まった頃にはすでに辞めていたが。
自分が卓球をしていたことを悟られないように答えた。
『自分の学校のことだから高丸中の卓球部が県大会に行くのは知ってるよ。…高丸中もってことはカゲたちも県大会が決まっとると?』
話題を高丸中から早く切り替えたかった天峰は咄嗟に質問した。
『うん、県大会はあと3週間後なんだけどね!僕たちも県大会に行くんだ!』
火柱は嬉しそうに答えた。
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