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放課後。
部活組みは同じ部活の仲間と教室を出ていく。
天峰と火柱もその中の一員だった。
『じゃあ、行こっか』
『うん』
火柱の誘いに天峰は答えた。
『あれ?浩二どこ行くの?』
三谷が不思議そうな顔をして教室を出る天峰に問いかけた。
『卓球場に行くんだよ』
『え?卓球部に入るの?』
『違うよ。見学に行くんだよ』
『ふ~ん』
卓球に興味があるのか、それとも自分も行きたいのか、三谷は天峰と火柱をジッと見ている。
『よかったら三谷さんも来ない?』
誘ったのは火柱である。
『え?いいの?でもどうしようかなぁ…』
暫く悩んで答えが出た。
天峰は来るはずないだろうと思っていたが、三谷は以外に食い付いてきた。
『行っても邪魔にならないかな?』
『大丈夫だよ!人数は多い方が楽しいしね』
三谷はその答えを聞いて安心したようだ。
ウキウキした声で『じゃあ行く』と答えた。
『あ、そうだ。浩二は知らないよね?この学校は卓球場がないんだよ』
天峰には言っている意味が理解できなかった。
それならばどこで卓球をするのだ?と言う話しになる。
『びっくりした浩二?三谷さんが言っているのはホントなんだよ』
『それなら、いつもどこで練習しよるん?』
『いつも僕たちはこの学校から少し離れたところにある、市民卓球場を借りてるんだ』
火柱の説明を聞いて、天峰はやっと理解したのだった。
2人の言う通り、本当に卓球場は学校の敷地内にはなかった。
天峰の入ってきた正門とは真逆の方向の裏門から出て、500mくらいのところに建っていた。
『ここが卓球場だよ』
『うわぁ、マジマジと見たのは初めてだぁ』
三谷が目を輝かせる。
『同じ市内なのに初めてなん?』
天峰は卓球場を見上げている夏希に問うた。
『うん、こっちの方には全然来ないの。アタシの家は正門の方だしね』
『弟は毎日来てるけどね』
『弟?』
火柱の言った台詞が気になった天峰が夏希に聞いた。
『弟だよ。アレ?浩二覚えてない?寛大(カンダイ)って言うんだけど…』
そう言えばいたような気がしないこともない。
『説明するより会ってみた方が早いよ。さ、中にどうぞ』
火柱はそう言って卓球場のガラス貼りの扉を開けた。
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