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『さぁどうぞ』
火柱の後ろに付いて天峰と三谷が歩く。
中に入ると左側に大きな靴箱が置いてあり、右側には事務室のような部屋がある。
正面はすぐ壁で左右に廊下が左右に別れていた。
火柱が右に曲がったので天峰たちも右に曲がる。
曲がると視界に飛び込んで来たのは広い空間。
廊下はここから壁に沿って続き、一番奥で階段になっていた。
壁の反対側には落下防止ようの手すりが着いていた。
つまり下にもフロアがあるのだ。
下のフロアには綺麗に並べられた見たくもない卓球台。
ここから見えるだけで7台もある。
三谷『すごぉい!立派な卓球場だね』
確かに凄い。
"高丸中"の卓球場とは比べものにならなかった。
火柱『市の借り物だからね。この下にも台が並べてあるんだよ』
天峰『この下にも!?』
驚いて自分の足元を見た。いったいどれだけ広いんだ?
火柱『下のフロアはとにかく広いんだ。ほら振り返ってごらん』
天峰の視線は火柱の示す先を追った。
突き当たりの右側に階段の手すりが見える。
火柱『下のフロアにはそっちの階段からも降りれるんだ』
こんなに広いのなら部員は相当なものなのだろう。天峰は部員の数を聞いた。
火柱『部員の人数?僕を入れて7人だよ』
天峰『へ?7人』
その答えに拍子抜けしてしまった。
天峰『7人しかいないのにこんなに広いと?』
火柱『僕たちの入学する1年前までは部員はたくさんいたんだよ。でもその年に部員が入って来なかったから卓球部はそこで終わったんだ。それを僕たちが1年生の時に復活させたんだ。そして3ヶ月前の新人戦でデビューして、県大会を勝ち取ったってわけ』
天峰『なるほどね』
昔は卓球をしていたので同じ地区の卓球部なら知っていてもおかしくないと思ったが、こう言う理由があったのか。
天峰『1年の時は新人戦にでてなかったん?』
火柱『うん、部員以外は試合しても勝ち目なかったしね』
火柱は苦笑いをして答えた。
『あ!先輩来てたんッスか!』
突然、後ろから声がしたのでびっくりして振り返ると茶髪の男子が立っていた。
火柱のことを先輩と読んでいるので、どうやら1年生のようだ。
『あれ?姉ちゃん?』
声をかけられた三谷は『よっ』と笑顔で返した。
天峰『寛大…?』
『え?誰…すか?』
三谷の弟は天峰の白髪を見て、目を丸くしながら言った。
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