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夏希と寛大。
言われてみても全く兄弟に見えない。
サラサラとした髪質が似ているくらいだった。
『寛大、浩二だよ。覚えてる?』
夏希が寛大に天峰を紹介した。
『え?天峰先輩っすか?』
寛大は信じられないと言った顔で天峰に確認する。
『うん』
『なんだぁ。変わりすぎっすよ』
天峰だと分かった瞬間、緊張の糸が解けたみたいだ。
天峰は寛大の事を覚えていなかったが。
『白髪って…マジでダレかと思ったッス』
『寛大、季楽はいる?』
火柱がマジマジと天峰の髪を見つめる寛大に問う。
『え、部長ッスか?部長なら下にいます』
『よかった。付いてきて浩二、部長に紹介するよ』
火柱はそう言って廊下を歩き出した。
天峰と夏希も付いていく。
廊下の途中には無造作に荷物が置かれていた。
天峰『部室は?』
火柱『更衣室はあるけど、みんなここで着替えてるんだ』
突き当たりに付き階段を降りる。
階段を降りるにつれて下のフロア全体が見えてきた。
『お!カゲ!』
遠くから声がした。
見ると下のフロアの1番奥から誰かが手を上げて挨拶をしている。
天峰『あの人が部長?』
火柱『そうだよ』
なんと言うか、人が良さそうと言うか…悪く言ったらシマリがないと言うか。
それが天峰の持った第一印象だった。
印象通り、部長は走って天峰たちの元までやってきた。
『お!噂の転入生か!?』
そう聞かれた天峰はコクリと頷いた。
『俺はキャプテンの白玉 季楽(キラク)や。よろしくな!』
白玉は握手を求めて手を伸ばした。
『天峰 浩二って言うんだ。よろしく』
答えて白玉と握手をした。
『あ、コイツは火柱 陽炎(カゲロウ)。人はコイツをカゲと呼ぶ』
『僕はいいよ。浩二とは幼なじみなんだ』
『そうなんか。こりゃ失礼』
ハハハと笑う白玉に天峰が問う。
『何で関西弁なん?地元が向こうとか?』
『ん?ちゃうで。地元はこっちや。関西弁ってかっこええから使っとるんや!』
天峰は変な奴だなぁと思いながら、相槌をうった。
『んで、浩二は卓球部希望なんか?』
『いや…見学しにきただけ』
『そうか、ほなラケット貸したるよ。使ってないの一本あるしな!すぐとってきたる』
白玉はそう言って階段を登って荷物のところへと急いだ。
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