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私たち種族には背中に1対の翼があって、自由に空を飛ぶことができる。
しかし、稀に2対の翼を持った子供が産まれることがあった。その子供は災いを呼ぶ者として恐れられ、この高い高い塔のてっぺんに閉じ込めれてしまうのである。
そして――私は2対の翼を持って産まれてきてしまった。
塔の外へ出ることは一切禁止され、許されているのはこの窓から外を眺めることだけ。下の方では人々が楽しそうに飛んだり歌ったりしているのが見える。
『キミも外に出てみれば?』
急に後ろから声がして、私は飛び上がるほど驚いた。鍵を掛けておいたと思ったのになぁ。
ゆっくり振り返ると、そこには1対の翼を持つ少年がいた。私より少し年下にみえる。
「無理よ。門の外には見張りがいて、絶対に外へは行かせてくれないの」
「窓があるじゃんか」
「飛べっていうの?無理無理。4枚も翼があったら羽ばたいたときに絡まっちゃうし、重いからダメだって大人の人に言われたもん」
「試したことは?」
「それは…ないけど」
「なら、まだ分からないじゃん。やってみようよっ」
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