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その後、その少年は毎日のように部屋に現れた。そして、羽ばたき方や風に乗るコツ、色々なことを教えてくれた。
…とても楽しかった。たとえ飛べないと分かっていても、こんな風に大人以外の人と話すのは初めてだったから。
「…で、今日は何を教えてくれるの?」
「もう教えることは何もないよ。だから、そろそろ飛んでみよっか」
「もー、それは無理だって最初に言ったじゃない」
「じゃあなんでこんなに練習したんだよっ」
「そ、それは…」
「…ボクはね、ずっと空を飛ぶことが夢だったんだ。キミと同じようにこの窓から空を眺めることしか出来なかったから…」
「ど、どうしたのっ、体が…っ!?」
私は、少年の体が少しずつ透けていくのに気づいた。
「キミなら絶対に飛べるよっ。夢、叶えて…っ」
そう言い残し少年は消えてしまった。
ゆっくりと窓枠に手を掛けてみる。
目の前には真っ青な空。
そして、私は…
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