1.秘密。

2/9
45695人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
   窓際で一人本を読む少女、天音凪砂(あまね なぎさ)。  窓から入ってくる風で、本がパラパラとめくれるのを見つめていると、女達の甲高い声が耳に入った。 「天音さん地味すぎなんだけどー」 「今時みつあみメガネとか超ウケる!」 「てか、古くなーい?」  朝から陰口になっていない陰口を言うギャルの集団。  そんな彼女達を横目で見て、あたしは小さくため息をついた。  ……耳障り。 「なーぎさ!」  一人浮いてるあたしに声をかけてきたのは、椎名沙枝(しいなさえ)。幼なじみだ。 「先生の話はもういいんですか?」 「うん。適当に終わらせてきた」  笑みを浮かべた彼女を見ながら読みかけの本を机にしまった。 「……なんで椎名さんもあんな地味女といるんだろう」  
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!