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黒髪みつあみメガネでスカートも膝丈の私と、茶髪のセミロングで比較的派手な沙枝が一緒にいる事を不思議がる人は大勢いた。
いろいろな憶測や噂が出ているらしいけれど、そんなに珍しいことなのか疑問に思う。
「ねぇ、凪砂。屋上行かない?」
「いいですけ……わっ」
いきなり手を引っ張られて転びそうになった。
「ちょっ! 危ないですって!」
「平気平気!」
手を掴まれたまま階段をかけ上がる。
屋上のドアの前に着いた時には、お互い少し息が乱れていた。
「はー疲れた!」
沙枝が手で顔を扇ぎながら息を整え、屋上の扉を開けた。
――どうして私は忘れていたのだろうか。
普段屋上は、当たり前のように鍵が掛かっていることを。
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