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「天気いいねー」
私達は、入ってすぐにある日陰に座った。
青い空に浮かぶ太陽が眩しくて、目を細める。
「それで? ……何しに来たんだよ」
普段の敬語をやめ、教室では出さなかった本来の言葉遣いと態度に戻す。
「ん? 気分かな。あの性格の凪砂に慣れなくてさ」
沙枝はそう言いながら私の髪に手を伸ばし、髪ゴムを取った。
ゴムを取られたせいで、私の黒く長い髪の毛が風になびく。
「……ついでに」
それを見て、悪戯に笑った沙枝に伊達メガネを取られた。
「あーあ。誰かに見られたらどうするんだか」
「今の姿じゃ、誰も凪砂だって気付かないよ」
「……そうだな」
私が小さく笑った途端、「あー!!」っと沙枝が大声で叫んだ。
耳元で聞こえたその声に、ビクッとして顔をあげる。
「真中先生にも呼び出されてたんだ! ごめん凪砂! また後でね!」
「え? あぁ、うん」
私の返事を聞くと、沙枝は慌てた様子で屋上を出て行った。
……ビックリした。
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