始期

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目が覚めると目の前にはいつも見慣れている天井がある 由夢はそっと肩を抱く またあの夢だった─ なぜあんな夢ばかり見るの 去年の誕生日を迎えてから だんだん鮮やかな夢は 消え失せ 今では真っ暗の 無音の夢ばかり 見るようになった あそこには 誰も何もいない… 漆黒の闇が 体を包んでいくだけ 私はいつか あの闇に呑み込まれてしまうかもしれない もしくはすでに呑み込まれ始めているのかもしれない
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