プロローグ

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「何だよ…いらねぇって言ったのに……」 竜之介はブツブツ言いながらも手帳を手に取った。 「……まあ……持っておいて損もないか……。」 竜之介の気持ちは複雑だった。 (確かに俺は夏休みの間に三つの事件を解決した。 これは才能なんだろうし、俺はそれで探偵になれるのかもしれない。 でも……どんな状況でも犠牲者が出ない事の方が良いんだ……なのに……何で俺の周りでは人が死ぬんだよ……? 本当にあの時の母さんと華夜の言葉で俺の人生は変わってしまったんだろうか……? いや……恐らくいずれはこうなっていたんだ……。 遅かれ、早かれ。 こんな才能を持ってしまったから……。) 確かに母親の気遣いは嬉しいのかもしれないだけど……今の母さんの気遣いは……これからも事件が起きる事を望んでる用に聞こえて……無性に苛立った。 「出来ることなら……もう誰も死なないでくれ……。」 竜之介はそう言ってしゃがみこんだ。
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