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何を言われるかわからない、聖奈はぐっと身構えた…
「望みはいたって単純だ…」
くすくす笑いながら槊也は言った。
「この怪我の原因はお前だ、足が治るまで俺のを面倒をみろ」
とっさの事で聖奈は意味が分からなかった。
こくりと頭を横に倒して槊也を見つめ、言った。
「面倒を見る?あなた自分の身の回りの事も出来ないの?」
ビキッ…槊也の怒りのはけ口になった、車椅子の肘置きが悲鳴を挙げた…
「なぁばか女…お前今までどんな教育を受けて来たんだ?…人間は足が動かないと、日常生活がしにくい事ぐらい、教えてもらってないのか?」
あぁそうか…
やっと聖奈は自分に要求されている言葉の意味が理解できた。
どうやら槊也に「ばか女」と呼ばれるたびに頭が悪くなっているようだ。
「どうやって面倒みるんですか?」
さっきの笑顔から一転して、激しく聖奈を睨みつけている槊也に聞いた。
「明日から夏休みだろ、俺の家に来い。話はそれからだ…」
どうして明日から夏休みだという事を槊也は知っているんだろう。そう思ったが、すぐに槊也の言葉を否定した。
「無理です。親が許可しません」
カタン…聖奈の前にケイタイが落とされた。
「これ…私のケイタイ!」
ケイタイを拾うと槊也を見た、膝の上にはさっき看護師に奪われた聖奈の鞄が置かれている。
「今ここで両親からの了解が得られなかったら、別の方法を考えてやる」
頬に手をつきながら、槊也は聖奈を見つめた。
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