始まりの事故

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容姿端麗。頭脳明晰。性格良好。おまけに金持ち… 恋愛以外なら、自他共に認める完璧な私、水前寺聖奈(すいぜんじ せいな)の人生… まさかたった17年で終わろうとは… 有名企業の一人娘として生まれ、幼稚園から高校まで有名女子校で学び、成績は全国で常に5番以内。 顔も社長令嬢として表に立てば噂になるほどの美形… 性格こそ秤にはかけられないものの、なるべく波風を立てないように努力してきた。 そのかいあってか、今では生徒会長を務めている。 そんな私の人生がいま車のブレーキ音によって終わりを告げた… キキーッ…ドンッ…!! 緊迫したブレーキ音と金属音が辺りを包む… 私は友達が呼ぶ声に気を取られて、向かって来る車に気付かなかったのだ… 車にぶつかった衝撃で体が激しく揺さぶられる… 不思議と痛みはない…だが私の目の前では、赤い血の海が広がっていた… たぶん私はここで死ぬんだ… 割と恵まれて生まれたのに彼氏も出来ないまま死ぬのはちょっと寂し過ぎる… そう思いながら目を閉じた…次の瞬間… ガシッっと血で真っ赤に染まった手が私の首を絞めた… 「けほっ…」息が出来ずに思わず咳込む。 「おい…ブス!!死ぬのはお前じゃない、俺だ!!」 突然の乱暴な言葉と首を絞められた衝撃で目の前がくらっとした… えっ!私がブス?! 17年の人生のなかで聞いた事のない言葉の響きに少々不機嫌にながらも、私は冷静に周りの状況をみまわした…
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