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聖奈は事故にあった時、ぺたんと足を地面に付けて座るような体勢で呆然としていた。
周りには血の海が広がっている。
だんだん体の所々が痛くはなってきたが、聖奈自身はこれほどまで血が出る怪我をしていないようだ…
一体誰の血……そう思いながらも、首を絞められている息苦しさで、聖奈の意識は消えそうだった…
もぅ無理…そう思った時「ごほっ…ごほっ…」ようやく首にかかっていた力が緩められ、息が出来るようになった。
下をむくと、血まみれの少年がこちらを激しく睨んでいる…
「早く救急車呼べよ、ばか女!!」
その時聖奈は、少年の発言のせいで、不機嫌がさらに苛々となって心を支配していくのを感じた、しかし人道的にこの無礼な怪我人を放置しておくわけにはいかない…
仕方なく遠くまで飛んでしまったケイタイを取ろうと痛む体で立ち上がった、その時…
「お嬢様はやっぱりガードが堅いんだな…」
「えっ…」突然足元から聞こえて来た言葉に聖奈は硬直した…
なんと無礼な怪我人は聖奈のスカートの中を覗いて溜め息をついていたのである。
その一言で、聖奈の苛々はとうとう全く別の感情に変わってしまった…
今まで自分を守ってきた殻がガラガラと崩壊するのを感じる…
なぜか分からないがじわっと涙が溢れそうになった…
思わず上を向いて涙をこらえる…
「俺…かなり痛いんだけど…早くしてくれない?」
イライラした様子で、無礼な怪我人は聖奈の足首を掴んで力を入れた…
いたい!そう思って聖奈が下を見た、その時…
ぽたっ…
一粒の涙が少年の頬に落ちた…
少年は驚いてしばらく聖奈の顔を見たが、すぐに目を反らすと、そっと足首から手を放した。
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