14人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
7月中旬、俺は高校二年生の夏休みである白いキャンパスを、受験勉強の一色で塗りつぶそうとした親の元から逃げ出した。
始まりは本当に些細な事だった。しかし、次第にエスカレートしてゆく母親との論争の中で、俺は衝撃的な事実を知った。
―あんたっていつもそう!塾の夏期特別講座に申し込んだから、少しは鍛えてもらいなさい!!
塾なんて知らなかった。夏休みは、適当に課外授業を過ごして友人と遊ぶつもりだった。
俺はすぐに愛用のスポーツバックに数日分の着替えと必需品を詰め込み、初めての家出を決行した。
初めての家出。
初めての反抗。
俺の頭には、完全に血がのぼっていた。
最初のコメントを投稿しよう!