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皆と同じような服を着て、同じ様な髪型をして、同じ様な毎日を過ごし、同じ様な音楽を聞いて…やがては同じ様な姿で死ぬ。
これが私の常識だと思っていたこと。
そして、変わらないと思っていたこと。
変わらない毎日に私はずっと嫌悪感を抱いていたの。毎日、朝日が上って目が覚めると
あぁ、またはじまる…
そんなかんじ。
適当に受けた授業、そして適当に交わす人との交流
楽しいようで全部つまらなかった…
寧ろ、うざったいとおもってた。この連鎖的な毎日から抜け出す術を毎日探した。
そんな中に現れた真っ黒なうさぎ。
アンティークで、暗い店のショーウィンドウに飾られた真っ黒なうさぎの人形。そのまわりを飾る薔薇や…あとは分からないや。うん、取り敢えずこの灰色の町から一つポツンと別の世界が広がってた…
真っ黒なうさぎは真っ赤な瞳でただボンヤリと空を見上げて、無機質な現実を一線おいた場所から見詰めていた。
その真っ赤な瞳と私の瞳何処か同じなにかを感じて…
あのうさぎは何処か違う世界へ連れていってくれる気がして…
重たい店のドアを押し開いた
乾いたベルの音とむせかえるような薔薇の香りが私を包んだ…とても心地がいい。薄暗い店内がやけに新鮮なものに見える。
そこは、黒くてお姫さまが着るようなお洋服ばかりが掛かったお店だった。
黒いうさぎは未だに無機質な空を見上げたままだったけど、少し大きなガラス玉の瞳を細めた気がした
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