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もちろん私はうなづいた。
黒く光るバイク
私は彼の背中に捕まって町のなかを走り抜けた
風になった気分…
この速さならきっとどこまででも飛んでいけると思った
着いたところは小高い丘だった
そこに私と彼は座って空を見上げた
空から雨のように星がたくさん降っていた
「たべる?」
不意に声をかけられて私は驚いてその方を見た
目の前に出された手の上に落ちてきた
砂糖の星…
私は一つ手にとって口に含んだ
口のなかに広がる砂糖と石榴の甘み…
視界が真っ黒になった
きっとブラックホールに吸い込まれたんだ…
唇が暖かかった…
きっと彼は
座流星群の見える夜に
ライヴハウスに降り立った金色の髪の
星の王子さまだったんだ
星の王子さまは金平糖と
メールアドレスと
唇の熱と
拓郁という名前を残して
バイクにのって空に帰った
生まれて初めての
彼氏ができた
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