眠りの塔の目覚め、終わらない童話

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次々と時代は変わる 私にはじめて色を与えた トールと黒蝶は年をとった 取り戻せない時間を彼等は悔いもせずにあの場所にいた 何時振りだろうか薔薇の香りと愛しい貴方達が私を包む 新たな私と昔の私を 私は愛しい貴方と約束をして黒いうさぎを作った ふわふわとした黒うさぎ 真っ赤な瞳のどこか私と似た黒うさぎ ガラス越しに空を見上げる形で椅子に座らせる 私はドレスを揺らしてロッキンホースを鳴らして ゆったり流れるクラシックの空気のなかでお湯を沸かした 貴方と目が合う思わず微笑んでその薄い唇にキスをする そして、厚い黒いレースで彩られた小説を開いた 貴方が別の部屋へ行く 私は小説を閉じた そろそろ君が来るだろう うさぎがくすくすと笑った 小さく鈴の音がする 君にあったら何を着せましょうか? ピンクや水色、白なんて君には似合わないって解ってる 着せるなら 柔らかくて…暖かくて… 堅苦しくて…でも冷たい 魔法のような 黒いヴェルヴェットの生地にレースを付けたドレス はにかむ君 たじろぐ君 ほらね、君も私と同じ魔法にかかっちゃった
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