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恥ずかしいけど彼を見てみた。黒く長めの髪を後ろに撫で付けて、少し大きめの目は緑に輝いて鼻は高い…一瞬見ると外人さんと勘違いしてしまいそうなほど。
「あぁ、あのうさぎですか…あれは僕の友達が作ってくれたんです。あまりの良い出来に僕だけ見ていてはもったいないと感じて飾ったんですよ」
目を細めて楽しそうな口調で話す彼。なぜかは分からないけど何となく、あのうさぎはただの友達が作ったのではなく恋人が作ったものだとかんじた。
「あ、今その友達が店の奥にいるんですよ。お茶でも三人でどうです?」
まだあって間もない人とのお茶に私は戸惑った。
どうしよう…
そう思う反面興味はあった。私は頷いて彼を見た。
彼はまた私に頷き返すと店の中央にあった椅子に座るようすすめ、店の奥へと消えていった。
私は示された椅子に座りながら灰色の世界の中とは思えないような店内を再び見回した
黒、紅色、白で統一された店内。私は場違いではないのだろうか…そうかんじた。
「こんにちは。」
女性特有の高い声が薔薇の匂いの空気を揺らす
私は声の主を見た。
フックラとしたさっきの男性とは正反対の黒く艶のあるドレスを纏った彼女が私を見ていた。
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