一、電車

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一、電車

 他の力によって、人類にはあり えないスピードで移動しながら私 は思う。世界のつまらなさとくだ らなさ、そして私に集住する数多 の細胞たちのこと。私を構成する ためだけにいる細胞たちのこと。  電車の中で、こんなことを考え た。  瞬間、急ブレーキとともに窓に 血が飛び、集住を壊された細胞達 の塊が私の左側を駆け抜けた。
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