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…ガチャ…
忍足が帰ってきた音だ
直感で分かる
この足音
「跡部、ただいま」
貼り付けたあの笑顔ではない
心底嬉しそうな 笑顔
弱冠女子の騒ぐ気持ちがわかった
「跡部もお腹すいたやろ?ごめんな~?明日っからこの鎖もあらんから安心し?」
優しく触れ、赤くなった手首にキスを
瞬間湯沸かし器のごとく俺は真っ赤になった
…はっずかしい奴…
「今日な、学校で跡部の話飛び交っとったんよ。俺メッチャ笑いそうやったわ。…跡部は俺のマンションにいます言うたらみんなビックリするんやろなぁ」
「…!?お前…ッ!変態か!?つかなんで俺なんだよ?」
「跡部が好きやねん」
「そういう事を聞いてるんじゃねぇよッ!」
「…跡部が欲しかったんや」
「欲しかっただと?……ふざけんなよッ!俺はモノじゃねえんだ!」
すると忍足は不意に破顔一笑し、俺を見据えた
「誰も愛してくれてへんのは、跡部も一緒やろ」
言葉が重くて
胸が痛んだ
違う
俺は愛されてる
そう言えなくて…
俯く俺を忍足は抱きしめた
引き寄せて
肩に顎を乗せ
呟いた
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