虚無感

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虚無感

当時、他のことはそっちのけでポケモンに熱中していた僕のことを、母はよく思っていなかった様子で、前にも増して勉強にはうるさくなり、時々部屋を覗きに来るようにまでなっていました。 ある日、僕はいつものように勉強の合間をみては延々とポケモンをプレイしていました。 その時、母は機嫌が悪かったのか、いい加減ゲームばかりしている僕に対して腹が立っていたのか。 突然ドアを開けるやいなや、僕のゲームボーイに手を延ばしたのです。 ガッ あっという間でした。 2秒もかかったでしょうか。 セーブもしていない、プレイ中のポケモンのカセットを強引に引き抜いたのです。 それには小学生だった僕も、激しい怒りと殺意を覚えました。 今までの経過が。 唯一、小学生だった僕らが、自分を表現できる場だったポケモンが。 僕はこの出来事を、一生忘れはしないでしょう。 僕はただただ、引き抜かれたゲームボーイを見つめていました。
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