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二人はブランコに乗り、高台から見えるそこそこ綺麗な夜景を眺めていた。
「今度、俺の友達と会ってみない?」
恭一の突然の提案に郁は戸惑った。
予想してもみない言葉だった。
郁は恭一の方に振り向いた。
「この間、郁と撮ったプリクラ見せたら会ってみたいって言うからさ」
そういう事か。
そのプリクラは郁の宝物だ。生まれて初めて好きな人と撮ったものだった。
それを恭一がちゃんと取っておいてくれている事が嬉しかった。
しかし同時に、他人に紹介されるという事にショックを受けた。
恭一にとって郁は恋愛の対象ではないという事なのだろう。
恭一の事も考慮した上で断る事は避けた。
「いいよ、暇な時なら」
恭一はほっとした様に笑って、郁にありがとな、と言った。
郁はもやもやするのを振り払う様に車まで走り出した。
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