第一章 きっかけ

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桜の淡いピンク色がちらほらと降り注ぎ始める。 一歩足を踏み入れるとそこは何週間か前に後にした時と全く変わらずに郁(かおる)を迎えてくれた。 創立三十周年になるというこの学校は割ときれいな状態に保たれている。 三十年という年月は感じさせない。 生徒達がぞろぞろと移動して行くのが見える。 校舎から体育館までは外の渡り廊下を渡らなくてはならない。 校門の前でしばらく立ち尽くしていた郁は、はっと我に返り時計を見た。 まずい… 郁は校舎の中へと走り出した。
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