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放課後。
「いくちゃん、部活行く?」
教室の扉からひょっこり顔を出したのは水野佳織と高藤綾子。
佳織は小学校の頃からの付き合いで時間のある時はだいたい一緒に行動していた。
一方、綾子は高校に入ってから佳織を通じて知り合った。
のんびりしていて穏やかな性格で時々自分に似ている感じを覚える。
「もちろん帰るよ」
郁は当たり前に答えた。
入学した頃、三年生の先輩に憧れて佳織と共に入部した。
だが先輩の卒業を機に部活にはほとんど顔を出さなくなっていた。
佳織はバイト以外の日は部活に出席するようにしているらしく、その都度郁を誘いに来てくれる。
どうやら今日はバイトが休みらしい。
「あやちんは今日も行くの?」
綾子は笑ってうん、と返事をする。
綾子は演劇部員ではない。
なので、もちろん自分が演じるわけではない。
以前、皆で入部を進めたが"見てるのが好きなだけだから"と断られてしまった。
春子と朔にバイバイ、と手を振って教室を出た。
階段を降りきった所で佳織と綾子とも別れた。
そこからは一人。
…そういえば先生に呼ばれなかったなぁ…
郁は遅刻の事で担任に呼び出されると思っていたので、少しほっとしながら駅に向かって歩いた。
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