第一章 きっかけ

6/15
前へ
/123ページ
次へ
睦は少しお腹が空いたと言ってカルボナーラを注文したので郁も同じ物と二人分のドリンクバーを注文した。 ドリンクバーを取りに席を立とうとした時、郁の携帯が鳴った。 メールの受信音だったのでそのまま席を立った。 二人は烏龍茶を手にして戻った。 郁は携帯を開いた。 画面には新着メール一件と表示されている。 「誰からだったの?」 烏龍茶にストローをさしながら睦に聞かれた。 「うん、かお」 そう答えると、睦は佳織の話題を持ち出した。 「最近どう?もう大分会ってないからさ。かおもあやも」 学校に行っていない睦は必然的に彼女達に会う機会は少ない。 郁からの話がだいたいの情報源だ。 「うん。元気にしてるよ。相変わらず。かおは彼氏とうまくいってるみたいだし」 睦と話をしながら佳織からのメールに目を通す。 今流行ってるらしいよ。送るね。 文章と一緒に何かのサイトに接続されるらしい英字が並んでいた。 とりあえず繋いでみる。 表示されたのはよくある無料のダウンロードサイトの様だった。 画面をずらしていくと、画像や音楽のダウンロードの他ネットショッピングなどもできる様だった。 その中の一つに友達募集掲示板と言うのがあった。 「睦、これ一緒にやってみる?」 「なになに」 睦は興味深げに覗き込んだ。 仕組みはとても簡単だった。 自分の住んでいる地域を選択し、名前やコメントなどを載せるというものだった。 あとはそれを見た人がメールをくれるのを待つだけ。 適当にコメントすると五分足らずでメールが届いた。 最初のメールが届いた頃、ちょうど注文したカルボナーラが運ばれてきた。 できたての香りと湯気に食欲も増した。 二人はとりあえず食事をとる事にした。 その間にも何通かのメールが届いた。 食べ終わるともう一度飲み物を取りに行き、今度はオレンジジュースを手にして戻った。 絵の具を溶かしたような鮮やかな黄色をしたジュースはとても甘酸っぱかった。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

448人が本棚に入れています
本棚に追加