理科室とお茶

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放課後…… 生徒が下校する中俺が向う先は理科室              「叶先生」              「………神城」 俺を目で追って数秒後…              「よっ神城、よく来たなっ」 先生は明るく俺に挨拶した 見慣れていてもギャップに少し驚く              「……可笑しかったか?」              「いぇ、別に」              「……そうか 神城、お茶飲むか…?」              「いただきます」              先生のお茶は美味しい インスタントだけど…… 何故ビーカーなのかは未だ謎だ              「神城、今日は楽しかったか?」              先生がお茶を差出しながら聞いてきた              「はい」              「そうか、よかったな」 先生が微笑んだ 作り笑いなんかじゃない 自然な笑顔………              「お茶……美味しいです」              「そうか、お茶にはカフェインとテアニンという物質が含まれていてリラックス効果がある」              「へぇ……」              「色にも効果がある 緑は心を落ち着かせる色で 黒は高級色、黄色のような蛍光色は明るく、青は控えめ、赤は情熱などだ……」              「すごいですね……」              「色以外にも物には意味がある 私たちは意味の中で生きているようなものだ 勿論人間にも意味がある」              「どんなですか……?」 先生はふわりと笑い              「人間がいなければ私は神城に出会えなかった…」              「先生……」              「もう一杯どうだ?」              「………いただきます」              先生はまたお茶を作り始める 心なしか嬉しそうに              「……先生」              「ん?」              「また来てもいいですか?」              「あぁ、いつでも来るといい…… またお茶を作ってやる」              「はい……っ」              (貴方に出会えてよかった)
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