願いとネガイ

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             《時計塔の前で願い事をすると願いが叶うんだって》              そんなお呪いみたいな事を聞いたのは何時だったか…              あの日、二見と槌谷と夜の学校に肝試しに行った時 二人を見失って不覚にも怯えてしまった時……              見えたんだ…… 蛍みたいに淡い光を放つ不思議なモノ そして…… それを食べている叶先生を                          願いだって分かったのはそれから数日後              今は願いを勝手に食べるのは止めた              「神城、神城は願い事は無いのか?」 放課後の理科室、突然発っせられた言葉              「………はっ?」              「無いのか?」              「何ていうか……願い事って云うのは特に…」              叶先生は少し哀しげな表情をした              「そうか……私にはは願いがある」 微笑しながら先生は云った             「何ですか?」              「瑠椅とずっと一緒にいることだ……」              「叶先生……」 不本意にも顔を赤らめてしまった俺              でも…嬉しかった…              「先生…俺も願い事あります」              「何だ…?」                                      「先生と…ずっと… 一緒にいることです……」              静かに立ち上がり先生は俺を抱き締めた 壊れ物を扱うみたいにとても優しく……              「瑠椅……」 何回も何回も先生は俺の名前を呼んだ              「好きです……」              二人だけの理科室 夜空には綺麗な月が浮かんでいた まるで俺たちを見守るように………                          (この願いだけは叶ってほしい……)
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