アドレス

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桜が受験する高校は女子校で、制服がとても可愛いい。 しかし、かなりの学力がなければ合格は難しい。 それ相応の偏差値が必要ということなのだ。 今は夏休みも終わって9月上旬―― 高校受験を控えているというのに、桜は美羽にテスト勉強を快く教えていた。 「そうだー、お姉ちゃんのアドレス教えてよ!」 美羽は昨日、前々からの親との約束で、中学2年生にして、人生初の携帯電話を購入してもらっていたのだ。 「……いいよ。じゃあ、赤外線機能用意して。」 先程から少しも勉強に集中していない美羽に、温厚な桜もイライラしていた。 「赤外線?なにそれ?」 理解力の乏しい美羽にとって、赤外線という単語は苦痛同然。 もはや昭和生まれ。 「赤外線知らないの?…赤外線っていうのはね……」 桜との何気ない作業が、美羽にとっては幸福の一時だった。 こうして、日曜日の夜を終えて新しい一週間が始まった。
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