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「達也先ぱーいッ!!」
帰路に向かう達也の後方から聞こえた、誰かの大声。
懸念を抱きながらも、達也は後ろを振り向いた。
「あれー?人形持ってる!」
羨ましそうな瞳で見つめてくる悠太と愛美。
「…ん?欲しいのか?別にあげるよ?」
一瞬にして愛美の心境を把握した達也は、愛美に人形を手渡した。美羽とお揃いの気持ち悪い蛇の人形を。
「わーい、ありがとうです!」
その場で、軽快なスキップをし始める愛美。
愛美は、不思議な女の子だ。
「あ、達也先輩。明日遊びませんか?」
歩き出した達也を呼び止めるように、悠太が言った。
「いや、明日は海に行く予定があるんだ…。」
達也がそう言うと、悠太と愛美の血相が、一瞬にして明るくなった。
「やったー!夏休み初日に海に行けるんだー!!」
海に行けることを前提にした、悠太の言葉。
「うわぁ、しまった…。」
後悔をしたものの、この悠太のテンションがうざくなってきた達也は、仕方なく承諾した。
「やった!悠太、明日はビキニ着るからね!」
スキップをやめない愛美。
「胸ないんだからやめとけ!」
顔を赤らめて、叫ぶ悠太。
達也は思わず笑ってしまった。
「ははは、お前らハシャぎす…………………」
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