水木 華子

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香織はその女を、品定めするかのようにじっくり見回した 女は、女子プロレスラーかと思える程の体型で、女性の割に背が高くがっしりしていて、長男の一幸に負けず劣らずの体型だった その割に顔は小顔で、黒い髪は長く肘辺りまで伸びていた 目は丸く小さく、鼻は低くも、高くもなく、口は大きかった 服装は、薄いピンク色のポロシャツにジーンズと言う格好だった 香織は一通り、見終えると 「山本茂樹の妻の香織だ 女、お前の名前は?」 と鋭い視線で低く重い口調で香織が、女に尋ねると 「水木 華子です」 とその体型には、似合わない、かぼそい声で答えた 「華子と言うのか、もう、夜も遅い 詳しい事情は明日、聞く事として・・・ 富樫っ‼ 誰にも、逢わずに来たのか?」 と富樫と言う、中年の男に聞くと 「はいっ、奥様っ‼ それは十分、気お付けて参りました」 と富樫と言う中年の男が言うと 「そうか、それはご苦労だったな 礼を言うぞ‼ 女は預かる、気お付けて帰れよ」 と香織が笑顔で、富樫に言うと、富樫は香織に一礼すると振り返り、暗闇へと消えて行った 「華子っ‼ 古くて汚い家だが、今夜は取り敢えず、ここで休んで行け」 と香織は優しく、華子に言うと、華子は震えながら、小さく頷くと、靴を脱ぎ、家に入った 香織は、お勝手口のドアを閉め、鍵を掛けると、華子を手招き、客間の一室に、華子を入れた 香織はその客間の押し入れから、寝具を一組出すと 「今日は、ゆっくりと休め」 と一言、華子に言い残すと、客間から出て行った 古くて大きな家に、静けさが戻り、夜が更けて行った そして、朝を迎えた 華子は目を覚まし、起き上がると、寝具を畳んだ そして客間から出ると、音の聞こえる方に、歩いて行った 「おはようございます」 華子を起こしに来た、香織と会うと、香織に華子は挨拶した 「おはよう ゆっくりと、休めたか?」 と香織は華子に尋ねると 「はいっ」 と華子は、香織に答えると 「では、後をついてこい」 と言うと、香織は振り返り歩き出した 華子は、香織のその小さな背中を追っていた 暫くすると、香織は立ち止まり、そして襖を開け 「山本茂樹・・・ 線香をあげてやってくれ」 と華子に香織が言うと、華子は力無く、仏壇の前まで行くと、泣き崩れた 泣き崩れて、華子の大きな体が、小さく小さくなり、そして大声で泣いた その泣き声は、古くて大きな家の柱、一本一本に染み入るようだった
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