開戦

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香織は静かに口を開いた 「私の目は、節穴ではないのですよ 一幸っ‼ あなたは、パラダイス・グループの取締役社長と言う重責を、背負っているのでしょ だったら、何故? 弥生さんの暴言を許すのですか? 私の耳に、入って来ましたよ 弥生さんの、お父様が頭取なさっている銀行が、パラダイス・グループのメイン・バンクなるらしいと言う話が・・・ パラダイス・グループの社長夫人から口から出たと となれば、私の実兄の勤めている、八角銀行が手を退くのは当たり前の話 取締役社長夫人の言葉が如何に重いか 思い知るのは、あなたよ 弥生さん と言う事で、八角銀行はパラダイス・グループへの融資は、今後一切しないそうです それと、一億五千万じゃ、お話なりませんわね 私が、提示額の半分 あなた方、お父様にどんな経営学を学んだのですか 恥ずかしい 三人とも、今度の株式総会まで、身を入れて経営しないと、役員の座から外される事になるわよ しっかりしなさい」 と香織は言うと、立ち上がり、そして客間を後にしようと、振り返ると 「母さん、冷たいじゃないかっ‼ 今、八角銀行からの融資を、打ち切られたら・・・」 と三男の博之が、香織に縋るように言うと 「博之っ‼ 一生懸命に、働くのです 貴方の噂は、悪いものばかりです 火が無い所に、煙は立ちません 同じように、一幸、浩二の噂も聞いてます 遊ぶ暇が、お有りなら、仕事をしなさい わかりましたか」 と言うと、客間から香織は消えて行った 「女狐めっ‼ 結局、私が一番悪いの あなたっ‼ 長男でしょ、義母さんをなんとかしてよ」 と弥生は一幸に、強い口調で言うと 「あなたも、あなたよ また、何処の馬の骨か?わからない女と遊んだね あぁ~あ、こんなに苦労するなら、あなたと結婚しなきゃ、よかったわ」 と博之の妻の佳子が博之に対してぼやき始めた 「夫婦喧嘩しても、しょうがないよ ここの家は、ともかく 八角銀行の融資再開を、母さんに頼まないと・・・」 と浩二が言うと 「義姉さん、義母さん謝って下さい 義妹も私も一緒に、行きますから お願いします」 と静香が言い、弥生に静香と佳子は頭を下げた 「義姉さん、俺からも頼むよ この通りっ‼」 と博之が頭を下げると 「あなたは、自分で謝って下さい そうじゃないと、家に入れませんから」 と博之を睨め付けながら、佳子は言った
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