開戦

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すると、弥生の顔が茹で蛸のように赤くなり、今にも爆発しそうだった その様子を見て、一幸は 「落ち着け、弥生っ‼ うちの店だって、八角銀行の融資が無くなれば、死活問題 しかも、パラダイス・グループの九割は、母さんの銀行から融資を受けてるんだ ここは、パラダイス・グループの為にも堪えてくれっ‼ なぁっ‼」 と弥生を一幸は宥めた 「俺も頭下げるから、博之、お前も付いて来い そして、弥生っ‼ 不満なのはわかる わかるが、パラダイス・グループの為だ 母さんに、土下座してくれ この通りだ」 と弥生は一幸に説得させられると、納得はいかない様子で、小さく頷いた 「兄さん、俺も行くよっ‼」 と浩二も立ち上がると、渋々、博之も立ち上がった そして一幸が、ゆっくり立ち上がると、香織が居るであろう、居間に向かって歩き出した 居間に一幸達がつぎ辺りを見渡すと、香織はソファーに座り、テレビを見ていた 博之は、一幸に促され、香織の前に行き 「母さん、俺が悪かったよ これからは、仕事に精進するよ」 と香織に頭を下げると 「博之っ‼ だったら、車をお売りなさい あのクラシック・カー、一台で、一億の値が付くそうよ それで暫くは、凌げるでしょ」 と博之の目を見ずに、テレビを見ながら言うと、博之は、悔しそうに頭を下げ、悩み始めた そして顔を上げて、二人の兄の顔を見ると 「はい、母さん」 と売る決意をさせられてしまった 「母さん、弥生が謝りたいと言ってるんだ 客間で、ご足労願います」 と一幸が頭を下げながら言うと、香織の表情は一変し 「一幸っ‼ あなたは、何処までお人好しなの? 弥生さんが、謝りたいなら、首根に首輪を掛けて、あなたを引っ張って来るが筋でしょ」 と言うと、香織は立ち上がると、自分の部屋へと消えて行った 三人は、すごすごと客間に戻り、弥生を説得し直した 弥生は三人の話を聞くと、、ますます顔を赤くした しかし、三人と静香、佳子が加わり、説得を続けると、弥生も次第に折れ始め、立ち上がると、居間に向かった 弥生が居間に着くと、家政婦の華子しか居らず 「お義母さんは?」 と弥生は華子に聞くと 「奥の自分の部屋に、行かれました」 と華子は弥生に答えた 「あっ❗そう」 と弥生は華子に答えた、緊張の糸が緩んだのか? もう一度、大きく息を吸い、気合いを入れて、香織が居るであろう、部屋に向かって歩き出した
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