母、強し

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弥生は、香織の自室に着くと、その場に正座し 「お義母さん、弥生です」 と静かに弥生が言うと 「何か用ですか?」 と香織も落ち着いた口調で、答えた 「はいっ‼ お義母さん、ごめんなさい 八角銀行とパラダイス・グループとの友好関係に、水を差すような事をしてしまって お義母さん なんとか、八角銀行との関係を修復して頂けないでしょうか」 と弥生は、しおらしい口調で言うと 「弥生さん 私は、あなたが好きでした 私に、本気で歯向かう人間は、あなただけでした 今でも、好きですよ だからこそ、あなたと一幸、そして他の兄弟と共に、この危機を乗り切ってこそ、パラダイス・グループの未来があるのです 私は、そう信じています あなたのお父様には、私が口添えしておきます 六人で相談し、パラダイス・グループを盛りたて下さい 時間はありませんよ 半年経てば、株主総会 それまでに、新パラダイス・グループと言う船の船長として、一幸を乗せてやって下さい お願いしますよ、弥生さん」 と香織が言い終わると、弥生の目から涙が零れていた 自分の器の小ささに呆れ果て、そして子を思う母の愛の大きさに、香織の偉大さに憧れさえ思い始めていた そして弥生は、立ち上がると客間に真直ぐ向った そして客間に着くと 「あなたっ‼帰りますよ 浩二さん、博之さんは、会議をしますので、パラダイス・グループの会議室に来て下さい」 と激しい口調で弥生は言い終わると、振り返り玄関に向かって歩き出した 他の五人は、唖然としながらも、すぐに立ち上がり、弥生の後を追って、玄関に向った 玄関に着くと、華子が正座し頭を下げて待っていた 「お義母さんを、宜しく頼むわよ 何かあったら、私の所に電話しなさいよ」 と弥生は言い残すと、靴を履き、外に出た 後の五人も、弥生に続けとばかりに、次々と外に出た 全ての人間が、外に出るのを確認すると、華子は玄関の戸を閉め鍵を掛けた 玄関に鍵を掛けて、客間にに入ると、華子はテーブルの片付けを始めた 華子は片付け終わると、居間に戻る と香織はソファーに座りテレビを見ていた 「帰ったか?」 と香織は華子に聞くと 「はいっ‼ 皆さん、お帰りなさいました」 と華子が香織に答えると 「そっかぁ~、帰ったか」 と香織は溜息混じりに言った
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