母、強し

5/5
前へ
/80ページ
次へ
香織は、暫くすると小腹が空き、そして起き上がり、居間に向った 居間に着くと部屋は真っ暗だった 「華子は、出掛けのかな」 と香織は、明かりを点けながらキッチンへ向った キッチンに着くと、流し台の上の棚から、ワイングラスを取り出した 「チーズは、無かったかしら?」 と冷蔵庫の奥を探して見ると、数種類のチーズがあった その数種類のチーズと、クラッカーを皿に盛り付ける と、華子が居間に入って来た 「あら‼華子さん、いらしたの? まぁ‼ひどい、お顔っ‼」 と言うと、香織は吹き出した 華子も、香織が吹き出しと、吹き出した 「私にも、あなたみたいな女の子供がいたら、もっと、違う人生を歩んでいたかもね 華子っ‼ お酒っ‼付き合ってね 今晩は、私と飲んで」 と言うと、もう一つ、ワイングラスを取り出し、テーブルの上に置いた そして、香織と華子はワインクーラーから、適当な一本を取り出すと、テーブルの上に置いた 華子はワインをコルク抜きで器用に開けると、香織と華子のグラスにワインを注いだ そしてお互いに、椅子に就くと、ワイングラスを持ち、ワイングラスを軽くぶつけ 「乾杯」とお互いに、口ずさんだ お互いに、久振りにお酒だった 香織と華子は、盛り上がりながらも、華子のお腹を気遣いながらに、飲み始めた 次第に、話も女同士と言う事もあり、盛り上がる とうとう、ワインが一本、空いてしまった すると、香織はうっすらと涙を浮かべた 「奥様、大丈夫ですか? 私、何か悪い事?言いましたか」 と心配そうに、華子は香織に言うと 「いえ、大丈夫よ こんなに、楽しいお酒‼ 久振りだったの 緊張の糸が弛んだのね きっと‼」 と香織は華子に言いながら、両手で両目の涙を拭った 拭い終わると、立ち上がり、華子の傍に寄ると、華子の手を握り締め 「これからあなたには、数々の困難が待ち受けてます それは私が、受けた以上の困難でしょう 頑張って、乗り越えて、強い子供を産んで下さい お願いします」 と香織は華子に懇願した そんな香織を見て、華子は 「虚勢、虚勢なんだ 弥生様には虚勢を張り、あんな事を言ったんだわ 奥様も女 自分のお腹を痛めて、産んだ息子達の前では言えなかったんだわ さぞや、お辛かったんでしょうね」 と思いながら、華子は力強く、香織のてを握り返した
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加