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一ヶ月後
朝の五時だと言うのに、香織は目を覚まし、出掛ける準備をしていた
「ピ~ン🎵ポ~ン🎵」
と居間のチャイムが、鳴動した
香織が足早に居間に向かい、インターホンを取ると
「おはようございます
奥様
お迎えに参りました」
とインターホンの先の相手が言うと
「おはようございます
富樫、ご苦労様
少々、お待ちになってね」
と香織は言い、インターホンを切ると、茂樹の書斎に寝ている、華子を起こしに向った
香織が後一歩で書斎に着くところで、書斎の扉が開き、華子が出てきた
「おはようございます
奥様」
と華子は香織に向って、一礼し挨拶をした
「おはよう、華子
お早い、お目覚めだったのねぇ~」」
と笑顔で香織は華子に言うと
「この子が、お腹を蹴って、私を起こしてくれたのです
お母さん、時間だよって」
と華子は嬉しそうに、右手で優しくお腹を擦りながら、香織に答えた
「あらっ、そうなの
お母さんより、しっかりしてるわねぇ
それでは、参りましょうか」
と言うと、二人はお勝手口に向かい、そして外に出た
外に出ると、富樫はタイミング良く
「おはようございます」
と香織と華子に向って、一礼し、富樫は挨拶をした
「おはようございます」
と香織と華子も、富樫に挨拶した
すると、富樫は二人を先導するかのように、ゆっくりと歩き出した
二人も、富樫の後を付いていくように、歩き出した
三人は無口で細い道を通り、防空壕を抜けて行った
防空壕を抜けると、三人は車に乗り、富樫は車を静かに発進させた
「富樫、山小屋までどのくらい掛かる?」
と香織が富樫に聞くと
「四十五分前後です」
と香織に富樫は答えた
「そうか‼
しかし、キヨ先生は相変らず、元気で口が達者だったなぁ
あれでは、真子先生も大変だろ」
と笑いながら、富樫に言うと
「真子先生より、息子の貴様が可哀相で
小林家は、何せ女傑揃いですから
キヨ先生と良い、奥様の鈴様と良い、真子先生と良い、揃いも揃って、気が強く頑固ですから
外では国立大学の教授先生も、家では蚊帳の外ですから
貴様も、たまらんと思いますよ」
と笑み溢しながら、富樫が香織に答えた
「真子先生が、婿を貰えば、その婿殿も可哀相だなぁ
芯の強い、婿殿を貰わねば」
といつになく、口が滑らかな香織だった
隣で聞いている、華子も笑顔を浮かべて、お腹を優しく擦っていた
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