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その二人の兄弟の顔色を伺いながら、電話しているのが、三男の博之(38)だ
二人と同じ大学、同じ学部卒
ただ違うのは、博之だけ高校を卒業して、すぐに芸能界へ飛び込んだが、泣かず飛ばずで、三年後に家に戻り、大学へと進学した
大学卒業後、▲▲市へ進出した、パーラーパラダイス店の店長の長男・一幸の下で仕事を手伝いながら、仕事を覚える
現パラダイスグループ専務取締役兼パーラーパラダイス▲▲店店長
趣味は車、この趣味には、妻・佳子も、ほとほと参っている
性格は臆病だが、野心家だ
その五人を尻目に、"我、関せず"と、その部屋の窓から外を眺めているのが、博之の妻、佳子(35)だ
博之の芸能界時代の熱狂的なファンの一人だった
▲▲市のパーラーパラダイス店で、偶然、働いていた博之と出会い、そのまま付き合い、結婚した
佳子は、他の義姉と比べてまだ若いと言う事もあり、店の経営には、まだ関心が無く、子供の教育の方が気になるらしい
剛(10)健二(7)百子(6)の二男一女で、今年やっと一番下の女の子が小学校に入学したばかりだった
最後に、山本香織(65)
故・山本茂樹(68)の妻であり、三人兄弟の母親である
夫が六十五歳の誕生日を迎えると、パラダイスグループの会長の座から身を退くと同時に香織も相談役から身を退き、気楽な隠居生活を夫ともに過ごしていた
パラダイスグループとは、○○市では、老舗のパチンコ店で、近年、大手チェーン店進出に対抗する為に、山本茂樹が、○○市の個人経営の社長達に、声を掛け、発足した、グループ会社である
現在では、○○県全体に広がり、傘下店舗数、百二十店舗を数えている
これも、香織の肩書きがあったからこそ、これだけのグループ会社になれたのだ
香織の肩書き、元八角銀行頭取の娘、現八角銀行顧問の妹
三人兄弟のメインバンクも"八角銀行○○支店"、香織の息が掛かってるのだ
三億なんて、端金をパチンコ店を経営している三人兄弟にとっては、すぐに用意出来る、金なのだが
メインバンクの八角銀行が、首を横に振れば、三億を用意する事が、たちまち困難になる
香織を敵に回す事は、三人兄弟にとっては死活問題なのである
かと言って、香織もまた、自分の腹を痛めて、産んだ子達である、ましてや本来、目の中に入れても、痛くない、孫達までいる
なんとか、親子喧嘩を避けて、この家・屋敷を三人兄弟に諦めさせたいのである
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