深夜の訪問者

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三人兄弟が、慌ただしく電話を掛けている中を、石川弁護士が、入って来た 三人兄弟が、電話を掛け終わるまで、その場に胡坐をかいて、佇んでいた 「石川先生、何か用事でも?」 と長男の一幸が言うと 「相続分与について、お話があります 三人さん、ちょっと申し上げ悪いのですが、法律上、仕方がないんですけど パチンコ店の資産価値を、出しますと、 一幸さんのパチンコ店は、一億五千万 浩二さんのパチンコ店は、一億 博之さんのパチンコ店は、五千万 で丁度、三億なので、一幸さん、博之さんに五千万、払って貰えないでしょうか? 宜しくお願いします では、」 とその場を、立ち去ろうとすると、長男の嫁の弥生が弁護士の石川に、食って掛かった 「なんでうちが、五千万も博之さんに支払わらきゃならないの? 義母さんが、払えばいいじゃないの あなたっ‼あなたっ‼ 土地・建物の名義、あなたになってるのよね」 と弥生は一幸に言うと、三人兄弟は顔を見合わせると、三人は下を向いた 「なんで‼名義変更してないよっ?」 と呆れた顔で、弥生が言うと 「実は、親父が三軒のパチンコ店の借金を返したのが、二ヶ月前だったんだよ 二ヶ月前は、親父が元気だったから、来月、名義を変更する予定だったんだよ それで、母さんとも話がついていたんだよ」 と一幸は、弥生を宥めるように言った 「博之、例の件で五千万は、無しな」 と一幸は博之に言うと、博之夫婦は、小さく頷いた 「結局、現金を貰ったのは、母さんだけかぁ でも、ここの家、そんなに資産価値があるのかなぁ~」 と溜息混じりに、浩二が言うと、一幸が首に横に振り 「家・屋敷は自体は、五千万の価値しかないそうだ 残りの二億五千万は、現金だよ それも、八角銀行の母さん名義の通帳でな」 と一幸が溜息混じりに言うと 「じゃ、義母さんは、なんで三億も要求したの?」 と落ち着いた声で、静香が尋ねると 「親父が、七十になったら、海外に移住するつもりだったらしいよ 親父も母さんも、音楽や絵画が好きだからね ドイツにでも住もうか?と話しているのを、聞いた事あるんだ だから、定期の満期まで後二年は現金を動かせないんだと思うよ」 と博之が静香に答えた 六人は、黙り込むと、石川は、静かにその場を立ち去った
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