15人が本棚に入れています
本棚に追加
三人兄弟が、慌ただしく電話を掛けている中を、石川弁護士が、入って来た
三人兄弟が、電話を掛け終わるまで、その場に胡坐をかいて、佇んでいた
「石川先生、何か用事でも?」
と長男の一幸が言うと
「相続分与について、お話があります
三人さん、ちょっと申し上げ悪いのですが、法律上、仕方がないんですけど
パチンコ店の資産価値を、出しますと、
一幸さんのパチンコ店は、一億五千万
浩二さんのパチンコ店は、一億
博之さんのパチンコ店は、五千万
で丁度、三億なので、一幸さん、博之さんに五千万、払って貰えないでしょうか?
宜しくお願いします
では、」
とその場を、立ち去ろうとすると、長男の嫁の弥生が弁護士の石川に、食って掛かった
「なんでうちが、五千万も博之さんに支払わらきゃならないの?
義母さんが、払えばいいじゃないの
あなたっ‼あなたっ‼
土地・建物の名義、あなたになってるのよね」
と弥生は一幸に言うと、三人兄弟は顔を見合わせると、三人は下を向いた
「なんで‼名義変更してないよっ?」
と呆れた顔で、弥生が言うと
「実は、親父が三軒のパチンコ店の借金を返したのが、二ヶ月前だったんだよ
二ヶ月前は、親父が元気だったから、来月、名義を変更する予定だったんだよ
それで、母さんとも話がついていたんだよ」
と一幸は、弥生を宥めるように言った
「博之、例の件で五千万は、無しな」
と一幸は博之に言うと、博之夫婦は、小さく頷いた
「結局、現金を貰ったのは、母さんだけかぁ
でも、ここの家、そんなに資産価値があるのかなぁ~」
と溜息混じりに、浩二が言うと、一幸が首に横に振り
「家・屋敷は自体は、五千万の価値しかないそうだ
残りの二億五千万は、現金だよ
それも、八角銀行の母さん名義の通帳でな」
と一幸が溜息混じりに言うと
「じゃ、義母さんは、なんで三億も要求したの?」
と落ち着いた声で、静香が尋ねると
「親父が、七十になったら、海外に移住するつもりだったらしいよ
親父も母さんも、音楽や絵画が好きだからね
ドイツにでも住もうか?と話しているのを、聞いた事あるんだ
だから、定期の満期まで後二年は現金を動かせないんだと思うよ」
と博之が静香に答えた
六人は、黙り込むと、石川は、静かにその場を立ち去った
最初のコメントを投稿しよう!