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「っ……もう絶対に弱音なんか吐かないからなっ!!」
耳まで真っ赤にし、恥ずかしさのあまり大きな声で叫び、あまつさえ膨れているラジウは、そこにいる少年少女となんら変わりはない。それをクレクは微笑ましそうに見ていた。
「うん。ね、ラジウ様。父ちゃんと母ちゃんの仇とってくれよ」
「それで早く平和な世界にしてっ。こんな恐い世界嫌よ!」
彼等は未だにラジウに視線を送っている。何故自分に彼等がついてきたのか、ラジウはよくわかった。彼等と自分は同じなのだと。
ラジウは手を握り締めた。仄かに暖かくなった胸がドクンドクンと波打って身体中に勇気を与えてくれる。そんな気がしたからこそ彼の顔には笑みが溢れたのた。そして彼はこう言った。
「もちろん!」
と。元気よく。
今はまだ、小さな子どもたちが集う城だが、いつの日か彼が王になり平和な場所になるのかもしれない。
ただ、少年と少女達がクレクへと、ラジウのことを"小さな王だね。"と言ったことは確かである。
序章~小さな王の誕生
完
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